これぞ。

『豚小屋』を観賞。

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現代と中世、交互に進行する2つの物語で構成された背徳の寓話。中世では、火山地帯の荒野をさすらう一人の若者
ピエール・クレマンティ)が、次々と通りかかる人を襲ってその人肉を喰らう。やがて“人肉喰い”の仲間も増えていく中、
ついに討伐隊が派遣されてきた…。現代では、西ドイツのボンが舞台で1人のブルジョワ青年(ジャン=ピエール・レオ
が主人公。その青年は美しい婚約者にも興味を示さない変わり者だったが、ある日父親の旧敵が現れ青年の秘め
られた性癖が暴かれ…。
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督。

このあたりからが“知っている”パゾリーニか。
扱っているテーマがカニバリズムに獣姦、さらに…。
うん、らしい。
もちろん、そこには大いなる皮肉が込められているのだが。
中世篇では壮大な風景(間欠泉が吹き出す荒涼とした土地)をバックに兵士たちの妙にチープな“人肉祭り”が繰り
広げられる。この違和感こそが単におぞましいだけの作品とは一線を画すのである。
そして最後に主人公が繰り返す“私は父を殺した。人肉を喰った。喜びに震えた。”というセリフは鳥肌もの。
これはキリスト教の棄教であり、原始宗教への回帰なのだろうか。
それとも資本主義に対するアンチテーゼなのか。
一方の現代篇でもまた奇妙なやり取りが進行する。
青年がジャン=ピエール・レオ、許婚役(?)がアンヌ・ヴィアゼムスキー
さらにやたら観念的なセリフの応酬が続く、ということで否応なくヌーヴェルヴァーグっぽくなっている。
が、これも前半だけ、後半はその父親とライバルの実業家の話へと移行。
セリフだけではあるが、息子である青年の性癖が露になっていく。
―彼は豚小屋にもぐり込み、豚との性交を楽しんでいる、というのだ。
さらに、ラストには豚たちに髪の毛一本も残さずに食べられてしまう!
これもセリフだけで直接的な描写はなし(ライバルの実業家がその話を農民たちから聞き取り、口止めして終了)。
だが、大富豪の息子が豚に食べられてしまうという、なんとも皮肉の効いたラストである。

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本日のBGM: METALLICA "METALLICA "

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